病院以外で働く看護師(検疫看護師)の仕事

病院以外の働き方

空港や港で、入国者に対して検疫業務を行う看護師の事を検疫看護師と言います。以前はあまり知られていない職種でしたが、最近では新型肺炎(コロナウイルス)で検疫官という職種が聞かれる様になりました。

私の前職場に入職してきた看護師が、検疫看護師をしたので、興味津々、色々と話を聞く事が出来ました。それも踏まえて、検疫看護師の仕事についてご紹介したいと思います。

検疫看護師とは

検疫看護師とは、感染症を国内へ持ち込まない様に水際対策を行う仕事です。
厚生労働省所属の検疫官という立場で、国家公務員で、職場は空港、湾港の検疫所になります。(全国の検疫所に転勤があります)

(1)検疫業務(港湾、空港)
(2)衛生調査
(3)船舶衛生検査(港湾のみ)
(4)健康相談業務
(5)予防接種業務

上記は厚生労働省ホームページの検疫官(看護師)採用情報の掲載内容です。

検疫業務(港湾、空港)

検疫業務は入出国者をサーモグラフでチェックし、体調不良者や感染症疑いの人には問診を行い、必要時は指定感染症専門病院を案内します。

白衣ではなく、空港の制服を着用、通常はマスクを着けて業務を行い、危険度の高い感染症が疑われる場合は防護服、ゴーグル、マスク、手袋の完全装備になるそうです。
(前出の彼女は、今までに防護服を着た事はなく、感染した事も一度もないと言っていました)

衛生調査

航空機、船舶、空港、湾港周辺区域の衛生状況の調査として、ねずみや蚊の生息状況の調査を行っています。感染症の病原体を媒介する衛生状態の把握と改善も検疫看護師の業務となります。

船舶衛生検査(港湾のみ)

船舶の場合は感染症防止の為、ねずみ、蚊、ハエ、ゴキブリの発生の有無など調査して、船舶衛生管理証明書を交付、改善措置を行う事が国際保健規則で定められています。

その為、船舶の衛生調査を行い、証明書を発行する事も検疫看護師の業務の一つです。

健康相談業務

体調不良者の健康相談業務を行います。
また、帰国者が感染症罹患の心配をしている場合に、感染症についての情報を伝え、必要時は感染症指定病院の紹介をする事も健康相談業務に含まれます。

予防接種業務

感染症予防として、渡航前に予防接種を行います。
特に黄熱は検疫所関係の機関でしか行っていないので、予防接種を行い、証明書を発行します。(黄熱入国時や出国して次の国へ入国する際に証明書が必要になる)

検疫看護師の応募資格

・日本国籍を有している事
・看護師資格を取得している事
・臨床経験3年以上ある事
・普通自動車免許を取得している事

車を運転して移動する事があるので、運転免許が必要なのだそうです。
上記以外に感染管理認定看護師や保健師の資格を取得していれば有利なようです。

因みに、採用の応募資格に語学力についての記載はありません。(前出の彼女は、中国の大学に語学留学し、通訳レベルで英語と中国語が堪能です)

検疫看護師のメリット

・厚生労働省に入省、国家公務員
・デスクワークが多く、身体的負担が少ない
・専門性を極められる

厚生労働省に入省、国家公務員

採用されれば厚生労働省の職員になりますので、副業禁止など融通の利かない部分もありますが、国家公務員という地位が確立されます。

デスクワークが多く、身体的負担が少ない

検疫看護師は検疫業務だけでなく、多くの書類を処理しなくてはいけませんので、必然的にデスクワークが多くなります。

空港、湾港の営業時間をシフト勤務するので、勤務時間は規則的とは言えませんが、残業は少なく、プライベートの時間は充実します。

専門性を極められる

検疫看護師の業務を行う為には、感染症の知識、感染症関係の法律、WHOの規定等々、常に最新、最先端の情報を熟知している必要があります。

感染防止方法や関連機関とのやり取りなど、国民の健康を守る事を使命としたプロフェッショナルです。

検疫看護師のデメリット

・感染症罹患の危険性
・全国に転勤あり
・採用時のハードルが高い

感染症罹患の危険性

前出の彼女は感染症の危険にさらされた事はないと言っていましたが、今回のコロナウイルスを考えると、未知のウイルスに接する事になるので、やはり、危険と隣り合わせである事に間違いはないと言えます。

全国に転勤あり

全国の検疫所に転勤があるので、家族を持っている人など、その人が抱えている環境によっては、勤務出来ない場合も出てくるでしょう。

新たな土地に移り住む事に、楽しみを見い出せる人には魅力的な職場と言えそうです。

採用時のハードルが高い

検疫看護師が認知され採用人数が増えてきたのは、SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)の流行からです。今回のコロナウイルスの件でもそうですが、東京オリンピックも予定されているので、今後、益々必要とされていく職種ですが、厚生労働省が募集をかけている事もあり、まだまだハードルは高いです。

因みに現在の募集要項では書類審査、面接、レポート提出(指定課題あり)となっています。

検疫看護師求人の探し方

検疫看護師の求人は、厚生労働省がホームページ上で行っていますので、求人情報は誰でも平等に見る事が出来ます。

感染症分野に興味がある方、国内に感染症を入れない取り組みに、熱意を持てる方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

※看護師が病院以外で働ける場所は、他にも沢山ありますので、こちらもどうぞ。
病院以外で働くという選択~看護師の資格を活かす32の働き方~

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